リニューアル後の大ホールはどう変わった?注目の演劇と舞台裏
パルテノン 多摩の大規模リニューアルオープンから月日が経ち、多摩センターの丘の上にそびえるあのシンボリックな大階段を抜けた先には、以前にも増して濃密な熱気が漂っている。かつて郊外の公立文化施設といえば、どこか画一的で敷居の高い印象を伴うことが少なくなかった。だが、現在の同ホールがまとっている空気感は、そうした旧来のイメージを爽快に覆してくれる。
週末にふらりと足を踏み入れると、ガラス張りの開放的なロビーには本格的な舞台演出を待ち望む熱心な演劇ファンから、緑豊かな公園散策の途中に立ち寄る親子連れまで、多様なグラデーションをもった人々が行き交っていた。かつて都心へ出かけなければ体験できなかった最先端のカルチャー体験が、いまやパルテノン 多摩という一つのハブを中心に深く息づいている。この場所で今、何が起きているのか。その最前線を取材した。
大規模リニューアルの成果!音響と大ホールの見え方はどう進化して最新公演を彩るか

改修工事を経て劇的な変貌を遂げた大ホールだが、訪れた観客が口々に絶賛するのが、客席からの「視界の抜けの良さ」と「音響の解像度」だ。客席傾斜の再設計により、前の人の頭部が舞台を遮りにくい千鳥配置が徹底され、どの座席からでも演者の表情や細やかな所作が鮮明に飛び込んでくる。
特に2階席前列からの見映えは圧巻だ。舞台全体を見下ろすダイナミックなフォーメーションと、奥ゆきを感じさせる照明効果が立体的に立ち現れる。さらに、残響時間の最適化を狙った壁面構造の刷新によって、微小な台詞のニュアンスや楽器の繊細な残響までが濁りなく客席へと届くようになった。迫真の劇的空間を全方位から享受できる設計は、鑑賞体験の質を根本から引き上げている。
演出家・宮本亞門らトップクリエイターが惹きつけられる舞台芸術の最前線

ハード面の進化は、表現者たちを強力に惹きつける磁力となった。演出家の宮本亞門をはじめ、第一線で活躍するトップクリエイターたちがこのステージを絶賛し、野心的な作品を次々と送り出している背景には、劇場の持つ柔軟な対応力と空間の潜在能力がある。
重厚なストレートプレイから躍動感あふれるミュージカルまで、現代の舞台芸術が求める多種多様な演出プランに高いレベルで応えられる舞台機構。それが演出家の創造力を刺激してやまないのだ。クオリティの高い演劇公演が連日ラインナップされることで、都内近郊だけでなく全国から観客が集う現象が定着しつつある。
プロの制作現場が明かす!市民とアーティストが交錯する劇場裏話

表舞台の華やかさを裏で支えるのは、長年にわたり地域の文化振興を担ってきた公益財団法人多摩市文化振興財団のスタッフたちだ。現場の制作陣に話を聞くと、他館にはない「制作現場としての柔軟性」がこの劇場の真骨頂だと語る。
舞台転換が非常に複雑な大型公演であっても、裏方の搬入動線から音響・照明の微調整に至るまで、専門スタッフがアーティストと密にコミュニケーションを重ねて最適な解を導き出す。単なる貸し館に留まらず、作品の立ち上げから市民参加型のワークショップまでをワンストップで企画・伴走するスタイルこそが、ここならではの独占裏話であり、熱量の高い舞台を生み出す隠れた原動力となっている。
秋の風物詩「TAMA CINEMA FORUM」と歴史を重ねるTAMA映画賞の熱気
毎年秋になると、この場所は映画ファンと映像クリエイターの熱気に包まれる。市民ボランティアの手によって30年以上にわたり脈々と受け継がれてきた映画祭「TAMA CINEMA FORUM」の存在だ。
映画祭のハイライトである「TAMA映画賞」授賞式では、その年を代表する新進気鋭の監督や実力派俳優たちが登壇し、映画への情熱を飾らない言葉で語りかける。大ホールを埋め尽くす観客と壇上のゲストが一体となる光景は、商業主義とは一線を画した温かい熱量に満ちている。映画の未来を育む聖地としての存在感は、年を追うごとに増すばかりだ。
都心を少し離れて楽しむ上質なクラシックコンサートと多摩中央公園の回遊性
舞台作品や映画だけではない。豊かな音響空間を生かしたクラシックコンサートもまた、この館の大きな柱だ。管弦楽の豊かな響きがホール全体を満たすとき、訪れた者は都市の喧騒から完全に解き放たれた至福の時間を過ごすことになる。
終演後は、ガラス越しのプロムナードを通って隣接する多摩中央公園へそのまま足を進めることができる。緑豊かな水辺と広大な芝生が広がる景観は、東京都多摩市が誇る最高のアメニティだ。音楽の余韻に浸りながら夕暮れの公園を散策するアプローチは、心豊かな休日を約束してくれる。
京王多摩センター駅から迷わないアクセス術と鑑賞後に味わいたい周辺の楽しみ方
初めて訪れる人にとってもアクセスはきわめて快適だ。最寄りとなる京王多摩センター駅からレンガ造りのメインストリート「パルテノン大通り」を直進するだけで、迷うことなく巨大な大階段へとたどり着く。歩行者専用道路が確保されているため、混雑時でもストレスを感じることなく安全に歩を進められる。
館内には居心地の良いカフェや図書館などの複合機能も整備されており、開演までの待ち時間も飽きさせない。鑑賞後は周辺のレストランで作品の感想を語り合うもよし、公園のベンチで風を感じるもよし。単に作品を「見る」だけでなく、過ごす時間そのものが上質なエンターテインメントとなる文化拠点の進化は、いま最も見逃せないニュースだ。 (出典: パルテノン 多摩(Yahoo!ニュース))